二十二日目
少し涼しい雨の日ってすき。
窓辺に座って雨の地面に落ちるパタパタとした音を聴きながら昼寝をするのがとってもすき。
グレーの空、土の匂い、雨音だけの時間。
傘を差して外を歩くのもすき。傘のなかは自分だけの世界で、その中なら胸のうちの秘密や弱音を吐くことができて、少しだけ心が軽くなるわ。
死ぬときはなるべく苦しくないといいから、秘めておくには重すぎる秘密は雨のなかに捨てて、ちょっと軽くなった心だけもってふわっとさよならするの。
二十一日目
どこかの死刑囚は、死ぬ前に好きな食事が与えられるらしい。
わたしは最期の時に何が食べたいかしら、美味しいお肉?美味しいお酒?それともなにも食べない??
そんなとき、案外自分でゆっくり好きなようにご飯をつくってお腹一杯食べて死にたいかも。
でも、自分のためにつくるより人に作るのがすきだから、誰かに食べてもらいたいなぁ。そんな人がいたら、死にたくないんだろうけどさ。
二十日目
あたし漫画がすき。
みたことないようなふしぎなせかいも、懐かしく思うような青春の日々も、心ときめくような憧れのせかいも、いろんな世界がある。
すきなものに埋もれて死にたい。
いろんな世界のとびらをひらいて、あたしがきっと幸せにすむことができるせかいは、きっとどこかにあるはずなの。
見つけたらきっと、そっちの世界に吸い込まれて、私はここからそっくり跡形もなくきえちゃうのよ。ゆめがあってすてきだと思うわ。
十九日目
いろんな人と関わってきたけど、孤独を感じやすい人間だから、どうにも構ってちゃんになっちゃうときがある。
だから、たまに、ごくたまに、死ぬときも一緒にてくれる人がいたらなって思うときがあるの。
最後の最後まで一緒にいてくれる人。それって、そのときになったら案外誰でもいいかもしれないって思うかもだけど、わたしはまだ出会えてないとおもう。この人とだったら、死んでもいいって人と。
十八日目
今夜は月がとってもきれいで、昼の暑さが嘘のようにひんやりして気持ちいい風が吹いてる。
ベランダに出て月の光に照らされてみた。もっと近づけたらいいのにって思ったの。
だから、いつかもっともっと近くで月を眺めたい。眩しく感じるぐらいに近づいて、全身で夜の風と月の光を浴びるの。
そして、夜が明けて月がまた遠い彼方に沈んでゆく頃、月におやすみのキスをして月と共に地平線に沈んでいきたい。
十七日目
お祭りの喧騒がすきだから、それが聞こえるすぐそばで息を潜めて、遠くに聞こえる祭り囃子を聴きながら、ああ、なんて賑やかでいい夜かしらとおもいながら死んでみたい。
十六日目
お風呂で寝ちゃうと危ないらしい。
一人で入るとき二、三時間は平気ですごしていつも寝てた気がするけど案外あれ心地よいのよね。
わたしはお風呂が大好きだし、シャワーもすき。汗っかきだから毎日入らないと気がすまないし、リフレッシュできる。
冬の静かな夜には、電気を消して好きな音楽を聴きながら歌ったりなんかしながら気づいたらねちゃうんだな。
いつかそのまま寝覚めない日があっても、いいかも。